Lounge ”四季”を散歩して・・・                気になること(モノ)を綴るblog

fujiyanh.exblog.jp
ブログトップ

<   2015年 12月 ( 1 )   > この月の画像一覧

リフレ政策の限界

結果的に異次元緩和後の日本でインフレを生み出しているのは、円安による輸入価格の上昇だけとなってい
ますが、これは原油価格の下落によって相殺され、インフレ目標の達成には至っていません。
異次元緩和後に物価の上昇は限定的ですが、不動産や株式など資産市場ではミニバブルが発生しています。
これは、日本経済の成長率が低下している中で、ゼロ金利でばら撒かれる資金で手軽に金利を稼ごうとした
場合、資産市場で運用する事が合理的な事から、市場に緩和マネーが流入した結果です。

さらに日銀は不動債RIETや日本株ETFを直接購入するという世界の中央銀行でも類を見ない積極的な
資産価格上昇(下支え)政策を実行しています。結果的に日本株は2万円まで回復し、東京を中心に
不動産市場はミニバブルとなりました。

金融緩和政策の大敵は「バブルの形成」ですから、日銀は危険な橋を渡っている様にも思えます。
タワーマンションを始めとする東京のプチ不動産バブルは2007年
当時同様に崩壊の兆しが見え始め、株式市場もFRBの利上げによって世界的に下落圧力が高まっています。

日銀の政策は一見矛盾している様に思われますが、サマーズ元財務長官やクルーグマンは最近、「成熟して
成長力が低下した先進国において経済成長やイノベーションを達成する為にはバブルが必要だ」的な発言を
しており、私はリフレ派は80年代以降、敢えてバブルを作り出す事によって先進国で経済成長を強引に
達成していたと考えています。その結果、アメリカでは10年周期でバブル崩壊を繰り返して来ました。

現在の金融緩和バブルは、先進国の国内では無く、金融市場を通じて新興国で拡大しました。その結果、
新興国のインフラが整備され、生産性が拡大し、新興国の国民の所得が拡大して大きな需要を作り出して
います。

但し、先進国が緩和的金融政策を縮小する過程で、新王国バブルは崩壊し、アジア通貨危機の様に
新興国経済はグローバルな金融資本家達に安値で買い叩かれる事になります。これはかつて日本の
バブル崩壊で起きた事で、同時にBISがバーセルの基準を厳しくした事で、日本の銀行は自己資金を
厚くする為に持ち合い株を売らざるを得ず、それを外資が格安の価格で購入して、日本の企業は株式
によって海外の資本家に支配される結果となります。

この様に中央銀行がリフレ的政策を実行する理由は、低成長経済を強引にバブル化させ、世界に
資金を供給する事にあると思われますが、バブル崩壊の引き金は中央銀行の利上げが握っています。

グリーンスパンはアメリカの住宅バブルが指摘される中で敢えて利上げを先延ばししてリーマンショック
の原因を作りましたが、その結果の世界的な金融緩和によって新興国経済は大きく発展しました。


この様にリフレ政策の「本音と建て前」は大きく乖離しているが、日銀の世界に例を見ない「異次元緩和」
という実験がインフレ率上昇にあまり寄与出来なかった結果を受け、クルーグマンなどリフレ派の重鎮も、
リフレ政策が無条件にインフレ率を上昇させるとは言わなくなりました。成長力の落ちた経済では効果は
限定的という認識を示す様になっています。要は、ゼロ金利の制約を受けるのです。

リフレ派の主張は「ゼロ金利に陥った経済では、リフレ政策によって実質金利をマイナスに下げる事で
資金供給を拡大し、将来的なインフレ期待を高める必要が有る」というものですが、これは異次元緩和では
初期の期待の醸生には成功したものの、その後の期待インフレ率は低調です。

一方、日銀の国債買い入れによって中短期の国債金利がマイナスになっています。リフレ派的には
マイナス金利は好感されるものだと思うのですが、日銀は先日の「ショボイ追加緩和」で、購入国債の
残存年限を長期化する事で、中短期国債の購入割合を減らしマイナス金利の発生を避けています。
これはマイナス金利では日銀に損失が発生するからで、ここら辺がリフレ政策の限界とも言えます。

一方、マイナス金利の発生の要因は、マイナス金利でも外国人投資家は為替差益を利用して利益を
上げる事が出来る事で、これが日銀を「ショボイ追加緩和」に追い込みました。

この様に異次元緩和はテクニカル的には限界に達しつつ有り、日銀の手詰まり感がショボイ緩和」
だと言えます。市場は敏感に反応して円高・株安が進行します。円高になったのは、これ以上の規模の
追加緩和が短期的には望めない為の調整で、長期的には日銀の信用失墜は円安要因となって行きます。
この様に通貨政策は「単に通貨を増やせばインフレが達成され経済が成長する」といった簡単なもの
では有りません。

各中央銀行は市場動向を確認しながら、様々な言葉を弄して市場をコントロールし、通貨政策の変更が
過剰は反応を引き起こす事を抑制しています。これが「市場との対話」と呼ばれるものです。

FRBは利上げに成功しましたが、これは今年に入ってから各中央銀行総裁が「世界経済は新興国や一部の
株式市場でバブル化しつつある」などと発言して、過剰リスクを整理させてきた事に勝因が有ります。

但し、ECBと日銀はFRBの政策変更に際して量的緩和を拡大し、世界的な資金量が減らない様に援護射撃
を行って来ました。ただ、これも今年12月のECBの追加緩和も、先日の日銀の「ショボイ追加緩和」も
規模的には十分では無く、市場は「失意」を示して株価が下落しています。

FRBの利上げによってジャンク債市場など、ほぼゼロ金利の資金の支えられた高リスク市場で崩壊が既に
始まっています。アメリカの企業などはジャンク債市場で安く調達した資金で自社株買いを行い、
株価を吊り上げると同時に財務状態を改善していましたから、利上げによってこの好循環の環境が
変化しました。ダウ平均など世界の株価が下落傾向にあるのはこの影響も少なくありません。

今後は原油などの商品市場、新興国市場、ジャンク市場から崩壊が始まり、これが株式市場に波及して
リーマンショック以降の量的緩和バブルが崩壊して行きます。

ここで、FRBが金利を再び下げると、中央銀行の信用問題から米国債金利などがぴょんと跳ね上がる
可能性が有り、2016年夏以降、世界経済がヤバイ事になりそうだと予想するアナリストが増えています。

リフレ政策が世界に何をもたらすのか、来年以降、私達は身を持って経験する事になるのでしょう。   

出典:人力でGO→http://green.ap.teacup.com/pekepon/

[PR]
by fujiyanh | 2015-12-22 00:35 | 時事メモ